東京トラフィックスコープ~ゲリラ豪雨発生日

解説

 ここでは、東京でゲリラ豪雨が発生した、2010年7月5日の例を示す。この日は、夕方5時から6時頃にかけて、東京都多摩北部から埼玉県南西部付近で雨雲が発達し、徐々に東進して東京都23区に接近したほか、神奈川県東部付近にも別の雨雲があり、これが北上して二つの雲が一つにまとまり、約1時間にわたり豪雨をもたらした。その結果、埼玉県所沢では18時までの1時間に67ミリの非常に激しい雨を観測したほか、板橋では19時30分からの1時間で107ミリを観測し、北区、板橋区、練馬区を中心に、床下・床上浸水が相次いだ。
 道路の通行にも影響があり、北区堀船で石神井川の水があふれて道路が冠水し、環七が通行止めになったほか、東京外環道の大泉IC~和光IC区間が通行止めになった。
 図4-1に、ゲリラ豪雨があった時間帯の混雑指数(混雑レーダー)と変化指数(混雑フォーカス)を、降雨レーダーの図と並べて示した。17時台では、降雨が始まった多摩川沿いエリアで、いつもよりも激しい混雑が発生しているほか、降雨がピークとなる19時台から20時台では、降雨範囲の中心である練馬・板橋・和光市で、統計的に特異な混雑が検出された。

図4-1 ゲリラ豪雨発生日の混雑指数と変化指数
図の見方

混雑レーダーの図は、東京都心部を中心とした約40km四方を1kmメッシュに分割して、1時間毎の流動性を数値化して、色分けしたものです。赤い色ほど、流動性が悪く、混雑していることを意味しています。混雑フォーカスは、単純に速度だけを見ているのではなく、交通量も考慮して、そのエリアの交通状態が道路ネットワーク性能の限界に近づくほど高くなるような、総合的な指数です。なお、指数の計算には首都高は除いてあり、一般道のデータだけを使っています。
変化指数の図は、過去3ヶ月程度のエリア交通状態の分布状況と比べて、その時の状態がどのくらい特殊なものかを数値化して、色分けしたものです。赤い色ほど、統計的には希で、特異な交通状態であることを意味しています。